僕は2018年から2年程、週に1回、書評メディア「わたしの本棚」で書評を書いていました。
書きながら「心に残る書評」とはどんなものかを考えるようになり、自分で試行錯誤を繰り返してきました。
世の中には書評はあふれており、本好きたちがこぞってブログやツイッターに書評を投稿します。
しかしその中で心に留まる書評はいくつあるでしょうか。実際にはかなり少ないように思います。
自分の書評を見つめなおした時、これまでの自分の書評も残念ながら心には留まりにくいものでした。
そんな反省を踏まえ、これから心に残る書評が書けるようになるためにこの記事を書きました。
- ・これから書評を書いてみようと思う方
- ・人とは違った書評が書けるようになりたい方
- ・心に留まる書評を書いてみたいと思っている方
に参考になれば幸いです。
誰に向けて書くのか?
多くの書評が心に残らない理由が、書評を「本の作家・作者」に向けて書いているという点があげられると思います。
読んだ本が面白かった!読めて幸せだったという気持ち、そして感謝の気持ちを伝えることを目的として書評を書いているからです。
感謝の気持ちを伝えたいというのはとても素晴らしいのですが、ここでは自分の書評(記事)の読者に向けて書くことが大事だと思います。
なので書評を書くときに、ターゲットとなる読者は3パターンのどれかから選択する必要があります。
- その本を読んだことが無く知らない(興味がない)人
- その本を読んだことはないが知っている(興味がある)人
- その本を読んだことがあり、他人の感想が気になる人
まず、どんな読者に向かって書くのかを明確に定めましょう。
本との出会い・動機を書く
本とはある意味、その人の人生の一部だと思います。
その本と出会い、共感したり励まされることで自分の身に起こる苦難や悩みを解決できたという経験は、本好きなら一度くらいはあるかもしれません。
またそこまで大げさでなかったとしても励まされたり、少し勇気をもらえたという経験くらいはあるんじゃないでしょうか。
書評の読者は、あなたとその本の出会った理由やその本を手に取った理由やエピソードが知りたいのです。
「なんとなく手に取った本だから理由は特にない」
と思うかもしれませんが、それだとしてもなぜその時本屋に行ったのか、数ある本の中からその本を選んだのか、深く何考えてみると必ず理由はあると思います。
書評には本との出会いを必ず書いてほしいのです。
その本には書かれていない+@の情報
書評記事の中には、ざっとその本を要約した内容が記されていることがあります。
しかしそれははっきり言って無駄だと思います。
本の大まかな内容はアマゾンで目次をみたり感想をみれば大抵のことはわかる時代です。
大事なのは、その本に書かれている要約ではなく、本に書かれていない+@の情報なのです。
それは読んだものにしかわからない経験や感性からくる情報です。
- 読みやすい文体だった
- 読みながら楽しい(苦しい)気分を味わった
- 作者の前作や他の作品との結びつき
- もし自分が登場人物だったらどのように感じたか?行動したか?
他にもまだまだあるでしょうが、こういった情報を書評には盛り込むべきだと思います。
まとめ
数ある書評の中で人の心に留まる書評を書くためには、
- 誰に向けて書くのか?
- 本との出会い・動機を書く
- その本には書かれていない+@の情報
を意識して書くといいでしょう。
逆に不要なのは、
- 詳細すぎる本の要約
- 本に書いてあることをたくさん引用する
など
「本とは人生の一部だから、書評ではその人と本の関わりが知りたい」
きっと読者はそう思っているに違いありません。